核融合の研究で飛躍的な進歩があった。米エネルギー省が2022年12月13日、実験で核融合を起こすために投入した分を上回るエネルギーを取り出せたと発表した。
日本でも多数の新聞で報じられ、複数のTVニュースで報じられた。

核融合は太陽と同じ反応を地上で再現することから「地上の太陽」と呼ばれる。水素の仲間同士の原子核が融合する際に発生する大きなエネルギーを熱として発電などに有効利用する。理論上は1グラムの燃料から石油8トン分のエネルギーが出る。
今回水素燃料の粒子をレーザーで照射する実験で、発生したエネルギーが投入量を上回る「純増」を初めて達成したとの事で、2.05メガジュールのエネルギーを供給したところ、1.5倍の3.15 メガジュールの出力が得られたという。

私は2018年5月19日に「核融合発電の実現性」と題したブログを掲載している。
私が核融合に興味を持ったのはキアノ・リーブスが主演した映画「チェーン・リアクション」によるところが大きい。映画では水からエネルギーを生む新しい技術を描いたものだったが・・

「核融合発電の実現性」ではITER計画に関して記述している。南フランスで建設が進められており、建設中の実証炉は、核融合に必要なプラズマ状態を磁場コイルでつくる「トカマク型」と呼ばれる。
今回米国が発表しニュースで報じられたのは、レーザーを使用する別の方式だ。

ITER計画の進捗があまり伝わってこないなか、今回のニュースは核融合の実用化に向けた明るいニュースと捉えたい。